人工骨頭と椎弓切除

| | コメント(0) | トラックバック(0) |
さて、本日は久々の大きな手術ですよ。
取り敢えず朝から人工骨頭が一件ですが、これはさっとやってしまいましょう。
081202_01.jpeg
写真のコントラストが低いので、左大腿骨頚部の骨折が分かりにくいですが、完全にポッキリいってます。これに対し例によって人工骨頭置換術を行います。
んでさくっと。

...手術しようとしたんですよ。
でも、高熱・採血での炎症所見に改善無し・胸部単純レントゲン像で肺炎所見の改善無し、ときたら手術を延期するしかないですわ...。
という訳で、本日の午前中はこの方の全身管理に専念しました。
午後からは予定通り、椎弓切除術を行います。
そして昼からは最近無かった脊椎の手術です。
今回は胸椎の圧迫骨折後に遅発性脊髄損傷の状態になった方の、下肢麻痺の進行を止めるために、脊柱管を解放し脊髄の除圧を行います。
脊髄造影では、Th8(第8胸椎)レベルでの不完全ブロックとなっています。また造影剤の上縁は先細りとなっており、典型的な硬膜外腫瘍の像を呈しています。
081202_03.jpeg
実はこの圧迫骨折の原因は、このまえに行われた胸部CTで、肺門部腫瘍からの直接浸潤であろうと判断されています。肺門周囲のリンパ節も腫脹が見られているため、基本的には腫瘍に対しては手術療法の適応はありません。
従って今回の手術は、根治的に腫瘍切除を行うのではなく、脊髄の除圧のみとなります。
造影後CT像では正常部位と比べると、腫瘍組織が脊柱管内に浸潤し、脊髄を圧迫しているところがはっきりと認められます。
081202_04.jpeg
第8胸椎椎体全体が、腫瘍に置き換わってきているような状況ですので、もはや根治は望めません。
我々に出来ることは、除圧で下肢麻痺の進行を止め、抗腫瘍剤もしくは放射線での治療だけです。

前述の通り、今回は除圧だけの手術となりますが、出来れば腫瘍組織を一部採取して、組織学的に診断してもらうことになります。病理部の先生、お願いします!
ところで除圧の方法ですが、以下の図の赤線で囲った部分(=椎弓+棘突起)を切除して、天井(もしくは床)を取ってやり、脊髄にかかっていた圧が逃げられるようにしてやります。
081202_05.jpeg
術後はCTを撮れるほど余裕のある病院ではないので、本日はCT撮影をしていませんが、術後Xpで見るとちゃんと椎弓が切除されています。
術前Xpと併せてどうぞ。
081202_06.jpeg
左(術前)には棘突起が縦の濃い灰色の線で見えていますが、右(術後)の方にはそれが無くなっています。うまいこときっちり手術できました。

久々に脊椎の手術だった割には、除圧だけだったので予想よりも早く、手術が終了しました。
術後には、患者さんに聞くと「ちょっとしびれ感がマシかな?」とのことで、除圧そのものは問題なく達成できたと考えています。
ただ、腫瘍みたいな組織を取って、病理検査に出したのですが、その結果が心配です...。

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 人工骨頭と椎弓切除

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://jaklab.com/mt4/mt-tb.cgi/154

コメントする

2018年10月

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

中の人について

  • ・くつろぐ筆者 test image
  • ※画像はイメージです。
  •  実際とは異なる場合があります。
  •  
  • ・EVE Online Character Redrick JJ
  • Redrick JJ:
  • ニヤニヤ笑いのCaldari人。
  • お仕事は主に掘りと生産。
  • 発明はギャンブルだ!
  • 所属corp:Wildcat Idc.
 

リンク集


月別 アーカイブ

アイテム

  • 181018_01.jpeg
  • 181016_01.jpeg
  • 181011_01.jpeg
  • 181004_01.jpeg
  • 180927_01.jpeg
  • 180925_01.jpeg
  • 180920_02.jpeg
  • 180920_01.jpeg
  • 180913_01.jpeg
  • 180911_01.jpeg
Powered by Movable Type 4.2-ja