脛骨近位部の骨折

これは珍しい骨折です。まずは受傷時の単純X線写真...と思ったけど、痛くてちゃんとした肢位がとれなかったとのことで、正確な正面・側面の写真がありませんので、単純X線CTの再構築3D画像をどうぞ。

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前方は脛骨粗面の骨端線に沿って亀裂が入り、関節面も骨折してます。後方は骨幹へ骨折線が入ってますし、全体としては内反・屈曲転位している状態ですね。骨端線の閉鎖時期前後にだけ発生しやすい骨折で、脛骨粗面裂離骨折に関するWatson-Jones分類(上腕骨内上顆骨折と同じ名前ですが)がありますので、それに当てはめると、Type3の亜型ということになりますね。

脛骨粗面裂離骨折のWatson-Jones分類

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今回は、以下の三点に注意して、整復・固定を行いました。

  1. 脛骨関節面の整復
  2. 脛骨粗面裂離の修復
  3. 脛骨骨幹端部の内反・屈曲転位

1.については、関節面のstep-offがほぼありませんので、小切開で骨把持鉗子をかけて骨折部を圧着させると、容易に整復できました。これをK-ワイヤで仮固定しておきます。

2.については、裂離した脛骨粗面を鋼線締結法で圧着します。こちらも整復は容易でした。

3.が一番の難関でして、骨片はしっかりと噛み込んでおりますので、こちらも骨折部を小切開して癒着を剥離した上で、整復しました。その後はlocking-plateを用いて前後の関節面ごと、しっかりと固定しております。

術後はこのような感じの写真になりました。

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整復は問題なさそうですが、荷重時期が悩ましいところですね。通常のプラトー骨折であれば6週間ほどは免荷しますので、それに準じて二ヶ月計画での荷重・歩行訓練を立てますかね。

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このページは、JAKが2023年7月 4日 23:32に書いた記事です。

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